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スローフードの国イタリア トスカーナのローカル色豊かな食事 [仕事のはなし]

ここで、イタリアのスローフード運動について少しだけ触れておきたい。
イタリアのスローフード運動をご存知だろうか。1986年にローマのスペイン広場にマクドナルドが開店したことをきっかけに、伝統的な食文化を守ろうとする運動が始まったとされ、比較的最近始まった活動のようだ。「スローフード」という言葉は、マクドやケンタ等に代表される「ファストフード」と対極にある言葉で、イタリアにはスローフード協会が設立され、現在イタリア国内で4万人、世界各国に8万人以上の会員を有する国際組織となっているとのことだ。活動の主旨は、伝統的な食材や料理、質のよい食品を持続可能にして未来に残していくことやクオリティの高い食材を提供する生産者を支えること、伝統的な食事、素朴だがしっかりとした食材、有機農業、健康な食生活など幅広いテーマをもって活動されているようだ。

マクドナルドについて触れておくと、日本のマクドナルドは約3600店で、店舗数はアメリカに次いで世界第2位、100万人あたり店舗数は30で、イタリアの店舗数は約400店(人口は約6000万人)で、100万人あたり店舗数は6.7と日本の4分の1以下だ。ヨーロッパの国々ではアメリカ文化への批判的な意見や昔ながらの食文化を大事にしようとする意識が強いことも影響して、各国ともに日本に比べて店舗数は少ないのが特徴だ。日本以外で店舗数が多いのは、アメリカ、カナダ、豪州、中国、香港など。ヨーロッパでもっとも店舗数の多いスウェーデンでも100万人あたり25なので、フランスやイタリアなど農業が盛んで昔ながらの食文化を大切にするEUの国々ではなかなかマクドナルドのようなファストフードを受け入れようとする素地が少ないのだろう。

では、日本ではどうだろうか。実はファストフードは、食料自給率(カロリーベース)の低下と相反するように拡大し国民に定着してきた。日本人は食については比較的懐が深く、昔ながらの日本食を大切にしながらもパン食や牛・豚肉、ポテトなど海外の食文化を積極的に受け入れながら独特の日本型食生活を構築してきた。こうした懐の深さが結果的に便利で安いファストフードを受け入れ拡大してきたのだろう。またデフレの定着も相まって、地域に根ざした食文化や食生活がどんどん後退し、最近では日本全国どこに行っても、特にロードサイドやショッピングセンターでは同じレストランや居酒屋、ファストフードという状況が生まれた。野菜もしかり、地域に根ざした伝統野菜は生産効率が悪いこともあり年々後退し、一年中販売できる生産効率の良い品種改良がすすんだ野菜が中心となっている。
和食がユネスコの無形文化遺産に指定されたことを契機に、ぜひ日本でも伝統的な食を大切にし、今の食を考え直す機会を作っていきたいものだ。

①ビンチ(vinci)村の農家民宿で食べた夕食
トスカーナ特産の生ハム(プロシュート)とサラミ、自家製の無塩パンと羊のチーズ(ブルスケッタ)、トマトとパンの粥(パッパ・コル・ポモドーロ)と自家製のぶどうで作った赤ワインで、まずは空腹を満たす。
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②メインはトスカーナ名物の兎と放し飼いの鶏、豚スペアリブと自家製生ウインナー(セルヴァッジーナ)のロースト
シンプルで素材の味が生きたローストは最高の味だ。
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★おまけ★
③トスカーナ名物、茄子とズッキーニの炭火焼 夕食で出された前菜だ。余計な味付けをしないで素材を生かした料理はとてもおいしかった。
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②フィレンツェの旧市街のはずれにある小さなトラットリア。何気なく路地裏のレストランに入った。創業が1800年と非常に歴史が古く、観光客がまったく寄り付かない、地元の方が立ち寄る素朴なレストランだ。ハウスワインとパン、メインはイカのほうれん草炒めだ。
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